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秋田県ミニ独立国
夢のカイロで文化交流
❖1989年(平成元年)
<下記、1989年「秋田県青年の家紀要」より転載>
1. 「小町の国」のこれまでの活動
「小町の国」は昭和 61年11月開国。以来、ユーモアとチャレンジ精神を基調とし、"今、何ができるか"を常に考えながら活動を続けてきた。 1年目は、小町ゆかりの花・シャクヤクの植栽運動や小野小町の生涯を描いた絵本の編集、そして「小町まつり」などでの小町グッズの製作・販売などと華々しくスタートした。しかし、この国の最終目標の一つは、小町と並ぶ"世界三大美人"クレオパトラ、楊貴妃の誕生の地との交流であり、2年目にはその目標達成のための目玉事業として、マレーシア農業青年のホームスティを受け入れて国際交流と親善の体験をした。
2.夢の実現は以外に早く
建国3年目、最終目的である世界三大美人誕生の地の一つであるカイロとの交流が以外に早く実現の運びとなった。そのきっかけは、大手電気器機メーカーがエジプトとの文化交流に力を入れているということを知ったことだった。
さっそく文書で協力を申し入れ、交渉の末、見世物的な参加ではなく、将来交流を深められるような方向での「文化使節団」として、同メーカーの主催のエジプトツアー「クレオパトラ・ナイト・イン・カイロ」に、平成元年4月29日~5月6日までの8日間、参加の要請を受けることになったのである。
3.カイロでの活動概要
200名参加のツアーがチャーター便で出発したが、親善大使は「小町の国」代表の小町娘3人に。総理大臣の佐藤芳嗣さん、副総理の渡部光哉さんの5人。
渡部さんは、青年海外協力隊員として活躍した経験があり、アラビア語にも通じている。一行が活躍したのは、5月3日のツアー終盤の日本・エジプト交換パーティーだった。
このパーティーには、エジプト政府の観光・行政・経済大臣ら要人も参加し、日本文化の一端を理解してもらい、世界三大美人友好都市提携の夢を実現すべく「小町」の名をPRするのには絶好の舞台となった。
広大な庭園に設けられた舞台に3人の小町娘が雅楽の調べに合わせ、ピンクの打ち掛け、市女笠(いちめがさ)姿でしずしずと登場する。また、地元の美女が扮するクレオパトラも登場し、「熱い、歴史と文化の国にようこそ」と歓迎のことばを述べると、小町娘も「クレオパトラゆかりの国のみなさん、ぜひ私たちと交流しましょう。」とメッセージを読み上げ、拍手喝采を受けた。続いて、お互いのプレゼント交換となり、クレオパトラ娘からは古代エジプトの紙として知られるパピルスにクレオパトラを描いた絵、小町娘はこけし、そしてエジプト政府要人には小町の和歌を書いた短冊と小町の絵本を手渡した。
美の競演は、両国関係者のあいさつの後行われた。小町娘たちは優雅な「小町踊り」を舞い、小町の代表作「花の色は うつりにけりな いたずらに わが身世にふる ながめせし間に」と朗詠した。現地の人たちは、薄絹で顔を隠した小町娘たちの素顔を一目見ようと、舞台のそばまで歩み寄り、必死にのぞき込んでいたという。それに対し、地元の美女たちは対照的に露出度の高い衣装で登場、腰をリズミカルに動かすエジプト伝統の「ベリーダンス」を披露して色っぽさをアピールした。まさに静と動が競演し、お互いの文化に対する理解が深められたことはまちがいない。この日は地元のテレビ局も三局取材するなどエジプト国内におけるイベントとしての位置は非常に高かったと思われる。
4.おもな成果
(1)小町の国の夢である世界三大美人友好都市提携実現に向けて大きな一歩を踏み出したこと。
(2)小町の国や雄勝町を世界的規模でPRできたこと。
(3)マレーシア農業青年のホームスティ受け入れに続く事業で、国際交流の意識が国民(町民)の間に定着してきていること。(平成元年度はさらに、町内の誘致工場に研修に訪れているタイの女性たちを招待し"レクリェーション 交流会"を開催している。)
5.今後の課題
エジプト訪問により夢実現の大きな一歩を踏み出したものの、この交流を末長く持続させ、友好都市を提携するには、まだ多くの段階を踏まなければならない。さらに国民の英知を結集し、交流拡大の方途を具体的に模索する必要があろう。また、もう一つ、楊貴妃誕生の地、中国へのアプローチも残っている。既に中国大使館に対し、楊貴妃の出身地、四川省と何らかのコンタクトを取ろうと、楊貴妃の関係のイベントがないかどうか照会しており、実現に向けて動き出している。さらに「小町の国」発展の課題として、国民の増加、特に20代の若者への働きかけや、活動資金の確保、今後の活動ビジョン作りなどがあげられる。
団体の概要
ミニ独立国「小町の国」は、「未来に夢求め、胸躍らせて」(同国国歌)小町ならびに雄勝町の名を全国に売り込もうと意気込む若者が中心となり、県内では四番目のミニ独立国として結成された。女王をシンボルとし、総理大臣などを制定している。
<下記、毎日新聞 1989年4月27日の記事>
<下記、LOOK JAPAN,APRIL 1990の記事(英語)>
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